平成22年版 消防白書

第5章 国際的課題への対応

[国際緊急援助]

1 設立の経緯

昭和60年(1985年)11月14日に発生したコロンビア共和国のネバド・デル・ルイス火山の噴火による泥流災害に際し、死者23,000人、負傷者5,000人、家屋損壊5,000棟に上る被害が発生したことに伴い、外務省から同国政府の援助要請がある場合の救助隊の派遣について意向打診があり、消防庁では、これに積極的に協力することとして準備を進めた。結果的に、コロンビア共和国政府からの救助隊派遣要請はなかったが、消防庁は、国際協力の一環としてこうした活動に積極的に対応することとし、昭和61年(1986年)に国際消防救助隊(International Rescue Team of Japanese Fire‐Service:略称"IRT‐JF":愛称"愛ある手")を整備し、昭和61年8月に、カメルーン共和国の有毒ガス噴出災害に対して初めての国際消防救助隊派遣が実施された。
また、このような動きと相前後して、政府は外務省を中心に、海外で大規模災害が発生した場合の国際緊急援助体制の整備を進め、昭和62年(1987年)9月16日、「国際緊急援助隊の派遣に関する法律」が公布、施行された。
法律施行後、国際消防救助隊は、同法律に基づく国際緊急援助隊の救助チームの一員として派遣されることとなり、以来同チームの全ての派遣に参加している。

関連リンク

はじめに
はじめに はじめに 我が国の消防は、昭和23年に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする自治体消防制度が誕生して以来、関係者の努力の積み重ねにより制度、施策、施設等の充実強化が図られ、火災の予防、警防はもとより、救急、救助から地震、風水害等への対応まで広範囲にわたり、日々国民の安全の確保に努めて...
1 チリ中部沿岸を震源とする地震等の概要
トピックスI チリ中部沿岸を震源とする地震による津波の概要と消防庁の対応 1 チリ中部沿岸を震源とする地震等の概要 平成22年2月27日15時34分(チリ国現地時間同日3時34分)、チリ中部沿岸を震源とするマグニチュード8.8の地震が発生した。この地震により津波が発生し、日本を含む太平洋沿岸諸国の広...
2 我が国への津波の到達及び避難等の状況
2 我が国への津波の到達及び避難等の状況 (1)津波の状況 気象庁は、平成22年2月28日9時33分、青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県に津波警報(大津波)、その他の太平洋沿岸全域などに津波警報(津波)、北海道日本海沿岸南部、オホーツク海沿岸等に津波注意報を発表した。特に津波警報(大津波)の発表は、平...
3 消防庁の対応
3 消防庁の対応 消防庁では、平成22年2月27日にチリ中部沿岸を震源とする地震の発生後、直ちに関係職員が参集し、情報収集体制の確保・強化を図るとともに、翌28日に津波警報(大津波)、津波警報(津波)及び津波注意報の発表後は、全職員が参集し、消防庁長官を本部長とする災害対策本部を設置した。同本部にお...